vol.14

教材の活用で学力の向上を
全国図書教材販売協議会会長
清水 厚実

児童・生徒減といった構造的問題を抱えている業界ではあるが、我が国で今大きな問題となっている学力低下を救い、児童・生徒に確かな学力をつけさせるため、安くて質の高い図書教材が強く求められている。

全国の出版社並びに販売店が、このことに強い使命感をもって、子どもたちに確かな学力をつけさせるため、図書教材の普及を積極的に進めて欲しいと考えている。それこそが学力低下を救う抜本的対策になるからだ。

学力低下の立証については、OECD(経済協力開発機構)のPISAテスト(学習到達度調査)やIEA(ユネスコの教育到達度評価学会)のTIMSS(国際数学・理科テスト)において、読解力をはじめ数学、理科についての成績が期待はずれになっていることをはじめとし、文科省の学力調査でも、そのことが指摘され、学力向上対策が教育界の喫緊の課題となっている。

中教審では、その対策として昨年10月に「新しい時代の義務教育を創造する」といった答申を出し、その各論で、義務教育の質の促進・向上のための国家戦略として、①教育の目標を明確にして結果を検証し質を保証する、②教師に対する揺るぎない信頼を確立する、③地方・学校の主体性と創意工夫で教育の質を高める、④確固とした教育条件を整備する、の四つを打ち出している。  さらに①の具体策として、義務教育の使命の明確化、学習指導要領の手直し、全国的な学力調査の実施、義務教育に関する制度の見直しなど進めることにしている。

このうちの全国学力調査では、2007年度に、国語、算数・数学の2教科につき、小学校6年生、中学校3年生の全員を対象に調査を実施することにしている。

学力調査は、すでに都道府県・市町村単位でも全国的規模で実施しているが、それに備えることもあって基礎学力をつけさせるための修得、習熟教材や評価教材の採用が全国的に増えている。

出版社並びに販売店は、子どもたちに確かな学力をつけさせるため、図書教材の役割を再確認し、その普及を積極的に図って欲しいものと考えている。

〜図書教材新報vol.14(平成18年6月発行)巻頭言より〜