vol.27

教師対象教材の開発
財団法人 図書教材研究センター副理事長
上越教育大学名誉教授
新井 郁男

平成18年12月の教育基本法の改正などに対応して緊急に改正を要する法律として、学校教育法、教育職員免許法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の3法が、平成19年6月20日、参議院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した

これは中教審が2月6日に、伊吹文部科学大臣からの要請を受けて行われた審議。答申(3月10日)などをふまえたものであるが、特に、これからの教材を考えるにあたって重要と思われることは、答申が第T部総論で、「改正教育基本法において示された新しい教育の理念の下、各学校種の目的や目標を見直し、学習指導要領の改訂につなげていくことが必要である。その際、教育の機会均等、水準の維持向上や無償制が特に求められる義務教育については、新たに義務教育の目標の規定を創設することが適当である。」としたことである。

この考え方にしたがって、義務教育として行われる普通教育が達成すべき目標が規定された。特に注目したい新たな点は次のようである。

また、旧法では、中学校の目標とされていた「職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと」という目標が、義務教育の目標として規定された。キャリア教育は小学校から始めるべきだという考え方である。

以上の目標が、小・中学校の学習指導要領に今後どのように反映されるのかが注目されるところであるが、主たる教材としての教科書だけでなく、教材一般について、以上のような改正点をどう具体化するかの研究が重要と思われる。

特に、「国と郷土を愛する態度を養う」教材はどのように作成したらよいのだろうか。「あなたの郷土」は、との問いに対する答えは、多くの人にとって必ずしも自明ではないであろう。

あらためて、Think globally,act locallyについて考える今日この頃である。

〜図書教材新報vol.27(平成19年7月発行)巻頭言より〜