vol.33
- 先生との絆を大切に
- 全国図書教材販売協議会会長
- 清水 厚実
図書教材業界は、戦後一貫して「学校直販」という販売供給システムにより、全国の小・中学校に有益適切な図書教材を普及し、児童・生徒の学力向上に寄与してきました。
「学校直販」という供給システムは、次の三つの大きな特色をもっています。
第一は、学校で使用される図書教材の採択、使用については、学習指導要領はじめ教科書の内容や児童・生徒の心身の発達段階、地域の特性、保護者の教育費負担、学校の指導計画等に基づき、最も適切な内容の図書教材を選択し、使用させることのできるのは担任の教師であります。その教師が直接図書教材を選択し、使用させることは、きわめて教育的であるといえます。
第二は、「学校直販」により、届けられた見本は、学校毎の教材採択委員会や学年会などにより、選択され、使用されるため、クラスまたは学年で一括して注文されることになります。このことにより教材出版社は、安くて質のよい教材を大量に制作し、供給するため、保護者の教育費負担の軽減ができます。
第三は、学校を直接訪問している都道府県図書教材販売協会の会員である販売店が担当校を訪問し、見本をお届けしたり、採用された図書教材をお届けしたり、集金する際などに、先生方から使用された図書教材についての使用感想やご意見、教材作成や開発についての意見を直接聞くことができます。このご意見や提案は、ただちに教材出版社に連絡され、現場のニーズに応える教材の開発が進められます。
このように「学校直販」による図書教材の供給システムは、きわめて教育的であり、経済的であり、さらには現場の教育ニーズに適確に応える優れた供給システムであります。
最近、学校に直接文書を送ったり、インターネットなどを利用し、図書教材の販売を進める動きがありますが、これは単に商業主義的な教材販売であったり、名簿など情報を収集するための学校利用ではないかといった批判が学校から寄せられております。本当の図書教材の普及は前述のような考え方によって進められることがきわめて教育的であると考えており、その手法には大いに疑問をもっているところであります。
図書教材出版社は、昨年暮れに発表されたOECDのPISA学力調査や文科省の全国学力調査の結果などを総合的に分析研究するとともに、近く発表される学習指導要領や指導要録に基づいて作成される新教科書の内容の研究などを進め、最も適切な図書教材を作成し、全国の小・中学校やその児童・生徒の家庭にお届けすることにしています。
図書教材出版社とその販売店は、学校、先生との絆を一層大切にし、「学校直販」を通して児童・生徒に「生きる力」「確かな学力」をつけさせる図書教材を提供し、我が国の教育の進歩と発展に貢献することにしています。
〜図書教材新報vol.33(平成19年1月発行)巻頭言より〜