vol.48
- 図書教材の著作権の尊重を
- 全国図書教材販売協議会会長
- (学)福山大学副理事長
- 清水 厚実
今年も3月1日付で「ワーク、ドリル、テストなど図書教材の複写複製禁止に関する学校へのご指導のお願い」(教材等著作権保護委員会委員長・岡邦俊弁護士)の文書が、都道府県・市町村・特別区教育委員会並びに都道府県小・中学校校長会あてに送付された。毎年のことながら、図書教材出版社が作成した図書教材の見本が販売代理店により全国の小・中学校に届けられ、採用についての検討をお願いしている。ところが、その見本が、先生の手により、そのまま複製されたり、切り貼りされたり、あるいはパソコンにデータとして取り込まれたりして自作教材などとして複製され、児童・生徒に配られているところもあるため、大きな被害を受けている。
図書教材についての複写複製を防止し、著作権法第35条「学校その他の教育機関における複製等」について正しい理解をしてもらうため、このような啓発文書を毎年教育委員会や校長会に送り、指導をお願いしているところである。そもそも著作権法第35条は、「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」となっており、見本として配られた図書教材の複製利用は「ただし書」に抵触し、明らかに違法な行為である。
それが、ごく一般的に複製利用されているのは誠に残念である。文化庁も「学校における教育活動と著作権」「著作権教育5分間の使い方」(場面対応型指導事例集)などを発行し、全国に配ってその啓発を行っているが、学校側も著作権法の精神を正しく理解し、違法な行為は止めてほしいと念願している。
〜図書教材新報vol.48(平成21年4月発行)巻頭言より〜