vol.56

教育政策の舵取りは慎重に
社団法人日本図書教材協会会長
菱村 幸彦/dd>

戦後初めての政権交代で、いま政治も行政も大きく変わろうとしています。教育の分野では、直ちに実施する政策として、高校の無償化と学力調査の抽出調査の具体化に向けた作業が進められています。これに続いて、平成23年度の実現を目指して、免許更新制の廃止と6年制教員養成課程への転換が検討されていますし、さらには、地方教育制度の抜本的改革も改革のロードマップに上がっています。

教育の質を向上させるために教育改革を行うことは必要ですが、政権が代わったからといって、始まったばかりの施策を廃止するようなことはいかがなものでしょうか。昔から「教育は百年の計」といいます。教育政策の舵取りは、長期的な展望に立って慎重に行ってほしいと願っています。

 

今こそ自己統制力の育成を
財団法人図書教材研究センター理事長
菱村 幸彦

自己統制力は、自ら自分の欲望・感情・行動を統制、制御する力です。これには我慢するという抑制的な面と努力を持続するという促進的な面があります。これは昔から自制、克己、自律として重視されてきましたが、特に今日、自主性・個性尊重の行き過ぎから、甘やかしの教育となり、自己統制力の欠如によると思われる問題行動が増加し、この力の育成が教育の大きな課題となっています。

この力を育成するには、まず規則正しい生活をさせ、困難に出会っても努力して、それを乗り越える我慢強さ、忍耐力を養うことが大事です。具体的には、自ら目標を設定し、自分の行動を監視し、その結果を評価し、自ら賞罰を与え、行動を調整する習慣をつけることが大事です。

 

法人化を目指して
全国図書教材販売協議会会長
清水 厚実

全販協では、法人制度改革を受け、新しい法人に切り替えるための準備が法人化実行委員会を中心に熱心に進められている。今まで、全販協は人格なき社団として運営してきたが、今回の法人制度改革を受け、「一般社団法人」として法人格をもち、その活動を強力に進めることにしている。全販協に結集している都道府県協会も、この機会に「一般社団法人」に切り替える研究もしていくべきであろう。

法人格をもつということは、社会的にも権威をもつことになり、教育委員会や小・中学校長会等との関係の上でも大変役立つことになるので、法人化を実現したいと考えている。新しい年はその意味で業界の再スタートとなるので、実現に協力してほしいと願っている。

〜図書教材新報vol.56(平成21年12月発行)巻頭言より〜