vol.57
- 教材の裾野を広げる
- 日本図書教材協会副会長
- 川野辺 敏
教育基本法や学校教育法等の改定に伴い、教材に関与する者の裾野が広がっている。教材というと教師と生徒間の学習の手段と考えられてきたが、保護者や地域の人材を巻き込んだ発想が欠かせなくなった。図書教材研究センターでは、昨年10月、岐阜女子大学との共催で「学校教育支援コーディネーター養成基礎講座」を開催し、これからの学校教育は保護者・地域人材を活用した「支援体制」が欠かせないという視点で、10講座・2日間の日程での講義を行ったが、そのなかで「コーディネーターには教材作成支援の役割がある」と新井郁男講師(当センター副理事長)が述べられたのは印象的であった。本講座はパイロットスタディ的な位置づけであり、講座のテーマとして正面から教材を取り上げなかったが、この講座を検証・発展させる立場から、「教材の理解と活用」といった講義時間を設けるべきだったと反省させられた。もうひとつ、教員免許更新制に関連して、当センターから「教材の利用と活用」を企画・申請し、「教材総論・各教科別の教材の現状と活用」といった構成で、これまでの教材研究の成果をもとに、保護者・地域人材を含めた教材活用の重要性を研修して欲しいと思っていたが、新政権の発足により当面中断せざるを得なかったのは残念である。
これらの過程で考えたことは、教材を教師と生徒との関係だけに限定せず、特に、保護者や地域住民の間に浸透させることの重要性である。保護者・地域住民も今後子どもの教育にいろいろな形で参加することが要請されているのに、教材についての知識をもたないで指導・援助を行うわけにはいかないからである。これら、いわば教材の非専門家からの教材要求が大切であり、また、それは利用者拡大にも繋がるはずである。
〜図書教材新報vol.57(平成22年1月発行)巻頭言より〜