vol.68

拱手傍観していてはならない
社団法人日本図書教材協会会長
菱村 幸彦

デジタル教科書が政策課題となってきた。平成22年8月に文部科学省は「教育の情報化ビジョン」をまとめ、その中でデジタル教科書について、学校種別や教科に応じた教育効果、モデル的コンテンツの開発、供給・配信の方法、子どもたちの健康への影響等について検討を進めることを提言した。文科省は、これを受けて新年度からモデル地域を選定し、デジタル教科書に関する実証研究を始めるとしている。

もちろん、デジタル教科書を導入するためには、教科書検定制度や教科書無償給与制度などの抜本的改革を必要とするので、簡単にできる話ではない。しかし、まだ先の話と拱手傍観していてはなるまい。いま時代が大きく変わりつつあることを自覚して、将来を見据えた真剣な取り組みが必要である。

 

目標準拠評価の信頼性を高める
財団法人図書教材研究センター理事長
辰野 千壽

現在、学校の成績評価は目標準拠評価(いわゆる絶対評価)で行われているが、この評価を正しく行うためには、単元あるいは授業の目標をできるだけ観察可能な行動(行動目標)で記述することが求められる。評価では、それがそのままテストや観察の項目となる。

この評価の妥当性、信頼性を高めるには、指導目標、達成目標をいかに具体的な行動目標として明確に記述するか、その達成状況をどんな問題と方法を用いて、いかに正確に評価するかが重要である。しかも、この具体的行動目標を指導に先立ち、子どもに理解させておくと、子どもには、これが努力目標や自己評価目標となる。このことは学習教材、評価教材の作製においても重要である。

 

全図協は法人として活動を始めます
一般社団法人全国図書教材協議会会長
佐野 金吾

これまでは任意団体であった全販協は、9月に全国から参加した皆さまによって一般社団法人全国図書教材協議会(全図協)として発足しました。

全図協は小・中学校用図書教材等の適切な普及、供給を図るため会員相互が協議・研究活動を行い、図書教材業界の恒久的な安定と発展を図ることにより小・中学校教育の振興に寄与することを目的としています。総会、理事会も無事に終了し、各ブロックの体制も整いました。

来年度は新教育課程による教育活動が本格的に始動します。全図協はこの機に、児童生徒一人一人が「確かな学力」を身に付けることのできる図書教材等の提供に一層の努力をいたします。今後とも関係各位のご理解とご協力をよろしくお願いします。

〜図書教材新報vol.68(平成22年12月発行)巻頭言より〜